1. 相続は人生最大の不労所得のチャンスである
相続によって得られるお金や土地などの資産は、特に子供にとっては大きな不労所得です。
例えば、両親と子供2人の家庭で父親が亡くなり、自宅や預金など8,000万円の遺産があった場合、子供1人の法定相続分は2,000万円になります。
2,000万円というとサラリーマンが定年まで勤め上げた退職金に匹敵する金額です。
一生のうちこのようなチャンスが訪れるのは相続の時くらいです。
ある意味、"濡れ手で粟"でこのような大金を手にすることができるのですから、目がくらんで理性が失いがちになるのも無理はないかもしれません。
特に住宅ローンや子供の教育費などお金が一番かかる世代にとっては、もらえるものならば少しでも多く取りたいという心境が強いはずです。
2. 兄弟間の確執
相続争いが多く起こるのはなんといっても兄弟間です。
相続人が妻と子供の2人だけというケースでは、2人の関係がよほど悪くない限り相続争いはまず起こらないでしょう。
たとえ、妻が全財産を相続したとしても、妻が亡くなれば(2次相続)その財産は子供が全て引き継ぐことになるからです。
そういうわけで、大部分の相続紛争は兄弟間において発生します。
兄弟姉妹というものは、幼い頃から親の愛情の獲得競争をしながら成長していきます。
そして、兄弟間の怨恨というものはなかなか忘れられないもので、子供の頃のおやつの取り分だとか、自分の洋服は姉のお下がりばかりだったとか、おもちゃを買ってもらえなかっただとか、自分には厳しかったが弟には甘かっただとか、両親は覚えていない"ささいな"ことを、子供はよく覚えているものです。
中でも、両親から他の兄弟に比べ公平に扱ってもらえなかった、という思いは消えません。
こうした兄弟間のうらみつらみとわだかまりは、大人になるにつれ記憶の底に沈み、普段の付き合いで表に現れることはないですが、相続時になると急に蘇ってきます。
兄弟姉妹の争いは、長い間蓄積されてきた恨みが噴出するため、他人同士の争いよりも熾烈で、憎悪も深くなりまさに血で血を洗う争いになりがちです。
父親が亡くなったときは、母親が生きているので兄弟間の醜い争いが表面に出ることはまだ少ないですが、母親が亡くなり相続人が兄弟姉妹だけになったときには熾烈を極めることが多くなります。
3. 権利意識の拡大
日本国憲法は法の下の平等を定めています。
戦後、民法が家督相続制から共同相続制に変わったように、法制度においては誰でも平等な権利を持つ世の中になりました。
しかし、それが現代人の権利意識を肥大化させ、逆に義務から目を背ける風潮を生み出したことは間違いないでしょう。
新民法の規定では、子供の法定相続分は全員均等です。
両親の介護や家業の手伝いや親孝行など、子供としての義務を全く果たしてこなかった相続人が、親の死後、相続する権利は平等だからと、他の兄弟と均等な相続分を要求することが多いです。
こういう権利は大好きだけど義務は大嫌いな人は、たいてい欲が深く不労所得には目がありません。
だから、きちんと遺言書を作成し相続分を指定しておかなければ、財産分けのときに必ずといっていいほど揉めることになります。
また、こういった場合には「遺留分」の制度が、彼らの強い味方となります。
4. 人は欲がからむと狭量になる
血がつながっていない兄弟がいたり、奥さんが後妻だったりという複雑な家庭があります。
こういう家庭の場合、普段は仲良くしていても、父親が亡くなりさあ相続だというときに、相手に対して抱いていた複雑な感情や差別心が頭をもたげ、欲もからんで相手の取り分をできるだけ少なくしてやりたいという狭量な思いになりがちです。
血がつながっていない兄弟に対しては、死んだ親父は本当の父親ではないのだから遺産は少なくてもいいはずだ(父親と養子縁組を結んでいれば法定相続分は同じなのに)と考え、後妻に対しては、父親の介護など懸命に尽くしてもらったのにもかかわらず、財産目当てで父と結婚したのだろうと考えてしまいます。
5. 感謝やいたわりを忘れる
現代は、家督相続制度が廃止され3世代同居が減り核家族が増加した結果、年老いた両親の介護をどうするかが大きな問題となっています。
昔は家督を継いだ子供(長男が多い)が、財産を全て引き継ぐ代わりに親と同居し、親の老後の面倒を(主に嫁が)看てきました。
今は相続の権利は同等ですが、親の介護は1人の子供が負担することが多いのが現実です。
それなのにいざ相続となると、他の兄弟たちは介護をしてきた者に対する感謝やいたわりよりも遺産のことで頭がいっぱいで、財産を平等に分けようなどと言います。
介護を実際おこなっているのは長男のお嫁さんなどの場合が多いですが、お嫁さんは相続人ではないため遺産を受け取ることはできませんし、財産分けの話し合い(遺産分割協議)に参加することも口を出すこともできません。
これではあまりに不公平なので、被相続人は介護をしてくれた子供とその配偶者に充分報いてあげるよう、遺言書などで配慮すべきでしょう。