民法の規定では法定相続分などで配偶者を優先しています。
平均寿命をみると女性が男性より10歳近く長生きするため、相続においても夫が先に亡くなって被相続人となり、妻と子供が相続人になるケースが多数です。
通常一家においては夫(父親)の威厳によって、子供は親の言うことに従い、家族がまとまっていることが多いと思います。
その夫が亡くなると、家庭の秩序の番人がいなくなり、妻にとって精神的な支えが失われます。
また、人間年を取ると肉体的にも精神的にも弱くなります。
そういう状況で相続を迎えれば、家族が元からまとまっていて絆が強ければ問題ありませんが、家族の中に不満分子がいる場合、相続において揉めることが予想されます。
親子間の相続争いで一番傷つくのは妻(配偶者)です。
どんな結果になろうと、実の子供との間の紛争は精神的に多大なダメージを与えます。
ですから、そんなことが起こらないように、夫は自分の死後どうなるかをよく考えて、強い意思をもって妻を守らなければなりません。
自分亡き後、相続争いが起こらないようにするには、とにかく遺言書を作成することです。
遺言書は妻を相続争いから守る強力な防波堤になります。
遺言書は妻にやすらかな老後を保証するためのプレゼントです。
1.自分の死後の家族の生活、特に妻の老後をイメージする。
2.身内(子供やその配偶者、自分の兄弟など)に危険はひそんでいないか冷静に考えてみる。
3.財産内容(どこにいくらあるのか)を明確にし、できるだけ分割しやすい形に整理しておく。
4.自分の身辺の問題(借金・不倫関係・認知していない子供など)を解決し身ぎれいにしておく。
5.家族関係が良好であれば、相続についてあらかじめ自分の意思を伝えておいてもよい。
6.遺言書は、相続分の指定から分割方法まで、できるだけ細かく具体的に指定しておく。
7.遺言執行者に妻を指定する(財産が多額かつ複雑、負債がある、利害が対立する相続人が多い、などの場合は弁護士や税理士などの専門家を指定)。
8.子供とは相談せずに、できるだけ自分の意思で決める。
9.子供がいない場合は、遺言書に全財産を妻に相続させるとしておけばよい(夫の両親が健在の場合、遺留分の権利はあります)。
10.遺言書の保管場所を教えておく(公正証書遺言がベスト)。
11.夫婦相互遺言や予備的遺言を利用する。
夫婦相互遺言
「自分の死後に全財産を配偶者に相続させる」と夫婦で遺言し合うこと。
遺言書は夫と妻がそれぞれ作成する。
子供たちには「いずれ自分たちの財産になるのだから、この内容に対し遺留分を主張しないようお願いする」と付言して理解を求める。
予備的遺言
夫婦相互遺言でもし相手に先立たれたら、その財産を代わって誰に残すのかを同時に決めておくこと。
例えば「全財産は妻に相続させる。もし妻が先に死亡したときは、長男と長女に2分の1ずつの割合で相続させる」というふうに付言しておく。