祭祀承継者に考慮する

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 16 祭祀承継者に考慮する

私たちの誰もがかならず最後に行きつく先がお墓です。
お墓の問題はどんな家でも避けては通れません。
最近は死んだら海に散骨して欲しいなどという人も増えていますが、ほとんどの人は死後お墓に埋葬されます。
そのお墓ですが、日本では「○○家の墓」というふうに、一家の墳墓に埋葬されるのが一般的です。
では、このような一家のお墓や祭具(仏壇など)、系譜といったもの(祭祀のための道具)は一体誰が受け継ぐのでしょうか。

旧民法では、「家」を中心として祖先の祭りを絶やさないこと、子孫の繁栄を祈ることが、相続の中核と考えられていました。
したがって、祭祀を営むための祭具やお墓は、家督を相続するもの(戸主)が受け継ぐものと定められていました。
しかし、戦後の新しい民法では、家制度を解体し家督相続も廃止し、相続は共同相続制として、祭祀の継承については相続からは切り離しました。
そのため、墓を守り祭具を預かり法事などの祭祀を主宰する者を誰にするかは、法的には相続とは別の問題として扱われるようになりました。
ですから、お墓や祭具や系譜などは相続財産として算入されません(相続税の対象にもなりません)。

新しい民法では、お墓や祭具を相続財産から切り離した上で、「慣習に従って、祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」と定め、但し書きとして「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者がこれを承継する」と規定しています。
このように、戦前の封建的家父長制を廃止するために、相続と祭祀継承を分離させた結果、現代の相続は財産分けだけが相続人の関心事となり、お墓を守ったり祖先を祭るお勤めに対する責任があいまいとなってしまいました。
しかし、依然としてお墓は「○○家の墓」であって、共同墓地に埋葬されることはまれです。
人々の意識の中でも先祖代々の「家の墓」であるからこそ、お彼岸にお墓参りをする習慣が広く残っているとも考えられます。

祭祀の承継は責任ある大変な仕事です。
承継する者はしきたりなどを覚える必要があり、さらに墓地の維持管理、法事の主宰、親類縁者への連絡などに結構お金や時間を割かなければなりません。
しかし、それぞれの家でお墓を守り祭祀をとりおこなうという行為があるからこそ、日本人の心のふるさとがはぐくまれ、日本の文化が受け継がれていくことができるのです。
民法の規定では、相続事項とは別にして被相続人が祭祀継承者を指定できますが、遺言書で祭祀継承者に対して相続分を増やす等の配慮をすることが、家の歴史やよい伝統や風習を子孫に残し受け継いでいくためにも必要でしょう。

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