相続に金を惜しむな

  STOP相続争い トップページへ

 18 相続に金を惜しむな

「相続準備をきちんとすれば、相続争いは起こらない」
「相続開始前の時間と相続開始後の時間は反比例する」
親が生前に財産を整理し、各相続人や受遺者への財産分けの内容を考え、遺言書を作り、遺言執行者を決めておくなど、時間をかけて相続準備をしっかりやっておけば、相続が始まってから、資産の移動、名義変更、相続税の納付等を終えて相続手続きが完了するまで、スムーズに短期間で済むでしょう。
しかし、相続準備を怠っていた場合、相続開始からトラブルや揉め事が続き、結果的に長い期間家族を苦しめることになることでしょう。

相続において最も大切なことは、相続争いが起こらないことです。
理想的な相続とは、相続が始まった時点で、事実上相続は終了していて、後は銀行や保険会社、法務局や税務署などへの事務手続きを粛々と進めるだけでいいという状況です。
このようであれば、遺された家族間で言い争いをしたり、時間の無駄使いをすることもなく、感謝の気持ちで故人を偲ぶことができ、皆ハッピーになれます。
血を分けた家族間のいがみ合いや喧嘩は、他人同士よりも凄絶になりがちで、最終的に兄弟同士が絶縁することなどもめずらしくありません。
夫が亡くなって、残された妻と子供たちの間で争いが起こればより悲惨です。
相続において、全員を100%満足させることはまず不可能。
100点満点ではなく、全員がそれなりに満足できる80点の相続を目指して準備をして下さい。
相続を短期間に成功させるための武器は次の2つです。
この他に遺留分放棄の許可書があれば、後々も揉めることはないでしょう。

1.公正証書遺言
2.遺言執行者

1.公正証書遺言
遺言書は一般的に、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかの選択になりますが、安全性と迅速性を考慮すれば公正証書に軍配が上がります。
迅速性について言えば、公正証書遺言以外の遺言書は、発見後家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。
検認とは、遺言書の形式や状態の調査・確認の手続きで、遺言書の偽造・変造を防ぎ、その存在を確認するためにおこなわれる証拠保全手続きの一種です。
家庭裁判所は検認の申し立てに基づいて検認調書を作成し、遺言書には検認済の証明文が付されます。
遺言書が封印されている場合は、検認を受ける前に勝手に開封して中を見ることは禁止されていて、必ず相続人全員または代理人立会いのもとで、家庭裁判所で開封しなければなりません(勝手に遺言書を開封したりすると、5万円以下の過料に処せられます)。
通常、遺言書を発見した人が家庭裁判所に提出し、家裁から全相続人に遺言書を検認する旨の通知をおこない、検認手続きが終了するまでには数週間くらいはかかってしまい、その間は遺言執行手続きに入ることはできません。
公正証書遺言であれば検認の必要がないので、遺言書を発見後すぐに遺言執行手続きに入れます。
確かに、公正証書遺言は作成するまでの手続きが煩雑で、費用も自筆証書遺言がほぼ無料なのと較べれば驚くほどかかります。
しかし、遺言書の保全性・安全性と、なにより相続人に余計な手間と時間をかけさせない迅速性を考慮すれば、公正証書が断然優れているのは間違いありません。

2.遺言執行者
遺言執行者とは、遺言者の死後に遺言に書かれた内容を実現するために、必要な法律行為や手続きをおこなってくれる人です。
遺言執行者を指定しておけば、相続人に代わって、相続財産目録を作成したり、相続財産の管理や処分のための事務手続き等をおこなってくれます。
遺言執行者を必ず立てる決まりはないですが、遺言書に相続人の排除や排除の取り消しと、子供の認知の指定がある場合は、遺言執行者だけがその申し立てをおこなうことができるため、遺言執行者は不可欠です。
遺言執行者は、被相続人の配偶者など相続人がなることもできますが、財産状況や相続人関係が複雑であったりする場合は、事前に弁護士・税理士など第三者の専門家に依頼しておくほうがベターです。

遺言執行者に第三者を立てるメリットには、その専門知識や実務能力の他に以下のようなものがあります。
@ 第三者なら当事者の主張を客観的に整理し、論点も明確にすることができる。
A 事務的に物事が運び、素早く解決できる。
B 相続人同士が顔を合わさなくてもいいので、感情的にならないですむ。
C 過去のうらみつらみは話題にせず、前向きな話に専念できる。
D 特定相続人の一方的な主張は避けられ、結果公平妥当な遺産分割ができる。

特定の遺言執行者を立てる代わりに、最近では信託銀行の遺言信託サービスを利用するという方法もあります。
遺言信託の内容は、主に財産の調査・整理・評価、遺言公正証書の作成支援、遺言執行の受託などがあり、銀行によってサービスが少しずつ違います。
ただし、遺言信託サービスは費用がとてもかかるのが欠点で、信託銀行側でもある程度の財産がなければ引き受けません。
三菱信託銀行の「特約付金銭信託パーソナルトラスト」という遺言信託サービスの場合、最低の受託単位(財産)が1億円にもおよぶそうです。
税理士や弁護士に個別に依頼する場合は、ここまでの財産は必要ありませんが、報酬は仕事の範囲や財産によって決定され、やはりそれなりに高額の費用がかかるでしょう。
しかし、これらの費用は自分の財産から拠出するものです。
相続争いを防ぎ家族の崩壊をくいとめたい、自分亡き後家族が皆仲良く暮らしてほしいと強く望むのなら、このような出費は安いものと思わなければいけません。

⇒19 高齢社会における相続と生前贈与

   
  • 1遺言書は最後のメッセージ
  • 2遺言書は相続争いを防ぐ
  • 3遺言書で何ができるか
  • 4遺言書の種類(遺言形式)
  • 5遺言は定期的に見直す
  • 6現代の相続の問題
  • 7なぜ相続争いが起きるのか
  • 8相続の基本的考え方
  • 9相続から妻を守るために
  • 10遺留分を考慮する
  • 11介護する者としない者を区別する
  • 12二世帯住宅と相続の注意点
  • 13熟年再婚と相続について
  • 14任意後見制度を利用しよう
  • 15事業用資産は後継者に単独で
  • 16祭祀承継者に考慮する
  • 17寄与分について知っておこう
  • 18相続に金を惜しむな
  • 19高齢化社会における相続と生前贈与
  • 20相続における生命保険の活用
  • 相続用語集
  • ご連絡・相互リンクについて
 

相互リンク
相続お役立ち1 2   士業・法律1 2   生活・お役立ち1 2

Copyright(c)2007〜  STOP相続争い  All rights reserved.